年金受給開始 70歳超も 選択制、額は上乗せ政府検討
(2018年1月17日 日本経済新聞 朝刊1面より引用)
近く政府がまとめる高齢者社会に関する大綱に、老齢年金の受給開始を70歳超からとすることもできる制度の検討に入ることが盛り込まれるそうです。
現状では、老齢基礎年金・老齢厚生年金は65歳から受給開始ですが、希望する人はそれらの片方または両方を66歳以降に繰下げすることも選択できます。
受給開始を1ヵ月遅らせるごとに年金額が0.7%増額されます。(年金をもらい始めるのを遅らせる代わりに年金額が増える。)
70歳まで受給開始を遅らせると、年金額は、最高の42%(0.7%×60カ月)増となります。
70歳を過ぎてから繰下げ申出しても、70歳で繰下げ申出したものとみなされて、年金額は42%にとどまります。
それが、70歳過ぎまで受給開始を遅らせた場合も年金額がさらに増額されることとし、希望者はそのような選択肢も選べるようにする。
そのような制度の導入について、政府が検討に入ることが高齢者社会に関する大綱に明示される、というニュースです。
報道によると、受給開始年齢の上限は、75歳~80歳程度までへの引き上げが想定されているそうです。
このような、公的年金に関する大きな制度変更の検討予定のニュースが報道されると、年金受給世代の方からの相談・質問が増える傾向にあります。
一般の経営者の場合、本件については、まずは下記の点について理解いただけばよいと思います。
・まだ何も決定されていないこと。(「2020年中にも関連法改正案の国会提出を目指す。」とされています。)
・将来決定されたとしても、希望者のみが選択できる制度であり、すべての人が必ず70歳を過ぎてからの受給開始となるわけではないこと。
・老齢厚生年金(報酬比例部分)のうち報酬・賞与との調整のしくみ(在職老齢年金制度)によって支給停止となっている部分は、現状では、何年繰下げしても年金額は増えないこと。
・今回の報道は、65歳からの老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給開始年齢を現状の受給開始年齢の上限70歳よりもさらに遅らせることができる制度の検討に関するものであり、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金とは関係がないこと。
(特別支給の老齢厚生年金には繰下げの制度はありません。)