遺族年金 18億円過払い
年金機構 受給資格喪失1000人に
(日本経済新聞2017年10月12日)
遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)を受けている人が死亡したら、遺族年金を受ける権利はなくなります。
(「失権」といいます。)
しかし、死亡した場合以外にも、遺族年金が失権するケースはあります。
遺族年金ををもらっている人が結婚した場合等ですね。
遺族年金の失権事由が発生した場合は、「遺族年金失権届」を提出する必要があります。
しかし、失権届を出すのが遅れたり、提出していないことによって、本来支給されるべきでない年金が支給され続けているケースが会計検査院の検査で見つかったとのことです。
日経新聞には、「年金事務所は失権届の記載内容を住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)や戸籍と照合しておらず、受給資格の喪失時期の確認を怠っていた。」と記載されています。
失権届提出時の添付書類は年金手帳だけで、失権届には住所・氏名・基礎年金番号等を記入して、
「失権の事由」の該当する箇所に丸印を付け、
「失権の事由に該当した年月日」を記入するだけとなっています。
例えば、実際に婚姻をした日よりも後の日を記入した失権届が提出されたことによって、年金支給を打ち切るのが遅れてしまった事例があるのでしょうね。
昨年度までの3年間に遺族厚生年金を受給していた約530万人のうち約1万人を会計検査が抽出した検査で、
・900人:失権届提出が期限より遅れたことにより約17億円が支給され、
・20人:失権届未提出により約1億6千万円が支給されていたことがわかったとのことです。
これらの合計約18億円のうち、約8億円は既に5年の消滅時効が成立し、日本年金機構が返還請求できる期限を過ぎているそうです。
たまたまサンプル調査で抽出した1万人のうちの1割弱の人に過払いが見つかったということですから、抽出された残りの大多数の受給者の中にも、過払いがありそうですね。